【建物明け渡し(立ち退き)解決事例】定期建物賃貸借契約が終了したにも関わらず退去をしなかった借主に対して、明渡を求め、契約期間満了日翌日以降の倍額損害金を回収した事例
【物 件】単身者用マンション
【借 主】個人
【滞納月数】無し
【特 徴】賃料滞納無し
【解決内容】任意退去・契約終了日の翌日以降の倍額損害金を回収
1.事案の概要
対象物件は単身者用物件であり、借主は単身者です。家主様は、物件について次に使用する予定があったことから、2年に限定して借主と定期建物賃貸借契約を締結しました。
その後、契約期間満了前になり、借主側から「定期建物賃貸借契約としては無効につき、退去しない」との主張があり、契約期間経過後も物件から退去しませんでした。対応に苦慮した家主様より赤坂門法律事務所へ相談があり、大家様から依頼を受けて借主に対して建物明渡請求訴訟を提起しました。なお、契約期間終了日の翌日以降、明渡が無い場合には倍額損害金を支払う旨の合意があったことから、同時に倍額損害金についても支払を求めているという事例です。
2.解決までの経緯
訴訟提起後、借主にも代理人が就任し、賃貸借契約が期間満了により終了しているか否かを争いました。争点は、定期建物賃貸借契約であることの説明があったか否かという点です。実際に説明した仲介業者の担当者に証人として出廷して証言をして頂きました。
第一審の判決は当方の完全勝訴、その後高裁にて任意退去を内容とする和解が成立しました。また、倍額損害金ですが、和解によりその金額については譲歩したものの、100万円以上の損害金を回収しました。
3.弁護士コメント
本件は、定期建物賃貸借契約に基づく賃貸借契約終了について、事前に定期建物賃貸借契約であることの説明が無かったとしてその契約終了が争われた事例です。
事前に定期建物賃貸借契約についての説明を尽くしていても、そのまま住みたい、あまりよく理解していなかったとの理由でその効力が争われるという場合があります。この場合、次の用途に利用できなかったという点で何らかの損害が生じていることが明らかですので、倍額損害金等、何らかの損害賠償請求も合わせて求めることになると思われます。
なお、定期建物賃貸借契約の場合には、借地借家法上定められる説明義務については、事前説明書面等で書面に残すことが必須ですので、その点も留意する必要があります。
※守秘義務の関係上、全体の趣旨を変えない範囲で、事案の内容等を変更しています。