【建物明け渡し(立ち退き)解決事例】外国人の無断転貸において占有者を特定して明け渡しに至った事例

【物  件】福岡県内の単身者用アパート
【賃 借 人】30代女性(外国人)
【特  徴】賃借人が友人に又貸ししており、賃借人が行方不明
【解決内容】明渡断行

1.賃借人(外国人)が友人に又貸ししていた

 物件は福岡県内の単身者用アパートです。
 賃借人が外国人ですが、家賃滞納がはじまったので、管理会社が賃借人に電話で督促をしようとしましたが、連絡が取れませんでした。そこで、管理会社が物件を訪問したところ、部屋から出てきたのは男性でした。管理会社の担当者が男性に問いただしたところ、「現在は自分一人が住んでいる。私は、賃貸借契約の連帯保証人。賃借人(外国人女性)が今どこにいるのか全く分からない」と話がありました。
 対応に困ったオーナー様と管理会社様よりご相談があり、弊事務所にて受任することになりました。
 本件については、賃借人と連帯保証人である占有者に対して、家賃滞納及び無断転貸を理由に契約を解除し、直ちに明渡請求訴訟を提起することにしました。

2.建物明渡請求訴訟の進行

 まずは、賃借人及び物件の占有者である連帯保証人に対し、建物明渡請求訴訟を提起しました。
 そのうちに、占有者である連帯保証人とも連絡がとれなくなり、物件の電気ガス水道も停止してしまい、物件には誰も居住していない状態となりました。
 賃借人、占有者双方連絡がとれなくなり、また、住居や居所、就業場所も全く把握することができなかったことから、訴状を公示送達とし、賃借人及び占有者双方に対して明渡を命じる判決が下されるに至りました。
 その後、強制執行手続により、物件の明渡を実現するに至りました。

3.又貸しした賃借人及び又貸しを受けた占有者に対する対応

(1) 本件は外国人が賃借人の案件でしたが、日本人・外国人問わず、物件が第三者に又貸しされるケースが少なくありません。又貸しは、トラブルが発生したときや家賃滞納が生じたときに発覚することが多いと思われます。
(2) 無断転貸は、賃貸借契約の解除事由です(民法612条2項)。無断転貸が発覚した場合には、賃貸借契約の解除を検討することになります。
(3) 問題は占有者の特定です。
 今回のように、連帯保証人が占有者であることが明らかであった場合には、占有者の特定は容易です。しかし、全くの第三者(友人など)に又貸ししていた場合には、占有者の特定自体が困難な場合があります。
 このような場合、弁護士会照会等の制度を利用して占有者の特定を行うことになります。強制執行手続との兼ね合いで占有移転禁止の仮処分を経由して特定を行う場合もあります。
 いずれにせよ、占有者の特定についてはコツがありますので、豊富な経験を有する赤坂門法律事務所にまずはご相談頂ければと思います。

※守秘義務の観点から、事案の趣旨を損なわない限度で実際の事案とは内容を変更しています。

記事カテゴリ: 解決事例
投稿日時: (約2年25日前)

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よくあるご質問

見積もりを取ることは可能でしょうか?

ご相談いただければ可能です。

ご相談内容を踏まえてお見積りさせていただきます。
見積もりは無料となっております。事案によって請求額は異なりますので、まずはご相談ください。

退去してもらうまで、どの程度の時間がかかるものでしょうか?

当事務所での解決までの平均期間は、4か月程度です。但し、弁護士が受任したことで、1カ月程度の早期解決に至ることもあります。

家賃滞納による明渡請求は、家賃滞納自体に争いが無い場合には、強制執行手続による退去完了まで、以下の経過をたどります。

  1. 内容証明郵便による契約解除通知送付(受任から3日~1週間程度)
  2. 訴訟提起(内容証明郵便送付日の翌日~2週間程度)
  3. 第1回期日(訴訟提起日から1ケ月~1ケ月半程度)
  4. 判決期日(第1回期日から1週間~2週間程度)
  5. 強制執行申立(判決期日から2週間~1ケ月程度)
  6. 断行手続(強制執行申立から1ケ月~1ケ月半程度)
  7. 退去完了

強制執行手続のうち、断行手続(裁判所の手続により、荷物を搬出・鍵の交換等を行う等の方法で強制的に明け渡しを実現する手続)によって退去が完了する場合、受任から終了まで概ね4ケ月~5ケ月程度の期間が必要となります。

但し、賃借人が行方不明の場合などを除き、強制執行の断行手続に至るケースは多くありません。訴訟提起後、強制執行手続に至るまでに退去するケースの方が圧倒的に多いというのが実情です。
弁護士が家主様の代理人に就任したことにより、1カ月程度で退去に至るケースもあります。
これらの早期解決案件を含めた弊事務所での平均解決期間は、受任から概ね4ケ月程度です。

【2022年10月11日更新】

司法書士に頼むのとどう違うのですか?

建物明渡請求訴訟について、司法書士は原則として代理人になれません。

弁護士と司法書士の違いは、端的にはその権限に違いがあります。

弁護士は、すべての訴訟事件について代理人として活動することができます。
他方で、司法書士は、訴訟事件について原則として代理人となる権限がありません。
認定を受ければ訴額140万円以下の事件について代理人として活動することはできます。しかし、その場合でも、簡易裁判所の事件での代理権しかなく、地方裁判所での代理権限はありません。
不動産明渡請求訴訟は地方裁判所が管轄です。司法書士は地方裁判所における代理権がありませんし、強制執行手続きについては、司法書士は代理人にはなれません。
不動産明渡請求については、司法書士が大家様や管理会社様に代わって借主と交渉することもできません。

借り主がどこに行ったか不明で連絡も取れないのですが、それでもお願い出来ますか?

可能です。法的手続きを進めるうえで大きな問題はありません。

借り主が所在不明で連絡も取れないということは、もはや話し合いでは解決できません。法的手続きを執るしか無い場合がほとんどだと思われます。
そのような場合に適した法的手続きを進めることで、ほとんどの場合、強制的に退去させることが出来ます。
但し、連絡も取れない場合には、家賃の回収については困難な場合がほとんどです。

手続き中、借主が直接自分の所に来て話したいと言ってきた場合にはどうしたらよい?

毅然と拒否し、弁護士と話すよう伝えて下さい。

弁護士が受任した場合は、全て弁護士を通していただく必要があります。大家さんご本人が直接話すとどうしても甘いことを言ってしまったりして、それを逆手に取られ、状況がこじれることがあるからです。
我々が借主様からお話を伺った場合には、通常依頼人たる大家様にご報告申し上げ、それで対応を協議するという形になります。
ご依頼頂いている以上、「弁護士を通してほしい」と言って頂いて構いませんので、まず直接の話し合いは避け、弁護士と話すように伝えてください。

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