【建物明け渡し(立ち退き)解決事例】弁護士介入を嫌がる氏名不詳の不法占拠者に対する早期の明渡が成功した事例

【物  件】関東地方の一軒家
【賃 借 人】単身男性
【占 有 者】賃借人の知人の会社経営者
【特  徴】不法占拠・弁護士介入を極端に嫌がる
【解決内容】弁護士介入後1か月程度で明渡完了

1.不法占拠者が居座って退去してくれない

 依頼者は、一軒家を所有していました。引っ越しにより空き家になったことからこれをシェアハウスとして賃貸していました。しかし、賃貸直後から賃料が滞りがちになり、賃借人(契約者)は間もなくして所在不明となりました。
 その後、賃借人の知人(会社経営者)とその従業員が一軒家を不法占拠するようになりました。
 依頼者は、不法占拠者に対して、一軒家を明け渡すように求めていました。しかし、不法占拠はいろいろと理屈をつけ、頑としてこれに応じませんでした。また、反社会的勢力とのつながりがあるような素振りを見せました。不法占拠者の氏名もはっきりとは分からないという状況でした。
 その不法占拠者は、弁護士が介入することを極端に嫌がっていました。依頼者も依頼を躊躇していたようです。しかし、明渡交渉が進まなかったことから、明渡請求を専門とする赤坂門法律事務所に相談がありました。

2.物件訪問と仮処分申立

 本件では、不法占拠者の氏名が分からない状況でした。そこで物件訪問を試みました。
 郵便物を確認したところ、氏名が異なる数人の方の郵便物を確認しました。また、数人の方が出入りしている形跡もありました。
 そこで、郵便受けに、弁護士名義の文書を投函しました。
 同時に、占有者を特定すべく、占有移転禁止の仮処分を申し立てました。

3.明渡の実現

 その後、不法占拠者より依頼者に対する連絡がありました。「弁護士を外して交渉したい」との話でした。依頼者は、これを断り赤坂門法律事務所に連絡するように伝え、また、今後裁判手続に入る旨伝えました。
 すると、数週間後、不法占拠者から物件から退去する旨の連絡が依頼者に入り、その後明渡が完了しました。

4.弁護士を嫌がる賃借人・不法占拠者ほど弁護士介入が効果的

 本件のポイントは、弁護士介入を嫌がった不法占拠者に対する明渡請求である点です。
 本件の不法占拠者は、弁護士が介入することを極端に嫌がり、「弁護士が入れば解決はしない」などと依頼者に言っていたようです。しかし、弁護士介入し、その後裁判が行われることを認識した後は直ちに物件を明け渡すに至りました。
 経験上の話にはなりますが、弁護士介入を嫌がる方ほど、弁護士介入後早期明け渡しに至る場合が多いように思います。物件内で違法行為を行っていたり、反社会的勢力である場合など、公に知られたくない事実があるのかもしれません。
 弁護士を嫌がる賃借人・不法占拠者の意向を慮り、弁護士依頼を躊躇すると、逆に損害が拡大することがあります。不法占拠者につきましては特に弁護士介入が効果的です。

※守秘義務の関係より、事案の性質や概要を変更しない範囲で実際の事案と異なる部分があります。

記事カテゴリ: 解決事例
投稿日時: (約1年10ヶ月前)

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よくあるご質問

見積もりを取ることは可能でしょうか?

ご相談いただければ可能です。

ご相談内容を踏まえてお見積りさせていただきます。
見積もりは無料となっております。事案によって請求額は異なりますので、まずはご相談ください。

退去してもらうまで、どの程度の時間がかかるものでしょうか?

当事務所での解決までの平均期間は、4か月程度です。但し、弁護士が受任したことで、1カ月程度の早期解決に至ることもあります。

家賃滞納による明渡請求は、家賃滞納自体に争いが無い場合には、強制執行手続による退去完了まで、以下の経過をたどります。

  1. 内容証明郵便による契約解除通知送付(受任から3日~1週間程度)
  2. 訴訟提起(内容証明郵便送付日の翌日~2週間程度)
  3. 第1回期日(訴訟提起日から1ケ月~1ケ月半程度)
  4. 判決期日(第1回期日から1週間~2週間程度)
  5. 強制執行申立(判決期日から2週間~1ケ月程度)
  6. 断行手続(強制執行申立から1ケ月~1ケ月半程度)
  7. 退去完了

強制執行手続のうち、断行手続(裁判所の手続により、荷物を搬出・鍵の交換等を行う等の方法で強制的に明け渡しを実現する手続)によって退去が完了する場合、受任から終了まで概ね4ケ月~5ケ月程度の期間が必要となります。

但し、賃借人が行方不明の場合などを除き、強制執行の断行手続に至るケースは多くありません。訴訟提起後、強制執行手続に至るまでに退去するケースの方が圧倒的に多いというのが実情です。
弁護士が家主様の代理人に就任したことにより、1カ月程度で退去に至るケースもあります。
これらの早期解決案件を含めた弊事務所での平均解決期間は、受任から概ね4ケ月程度です。

【2022年10月11日更新】

司法書士に頼むのとどう違うのですか?

建物明渡請求訴訟について、司法書士は原則として代理人になれません。

弁護士と司法書士の違いは、端的にはその権限に違いがあります。

弁護士は、すべての訴訟事件について代理人として活動することができます。
他方で、司法書士は、訴訟事件について原則として代理人となる権限がありません。
認定を受ければ訴額140万円以下の事件について代理人として活動することはできます。しかし、その場合でも、簡易裁判所の事件での代理権しかなく、地方裁判所での代理権限はありません。
不動産明渡請求訴訟は地方裁判所が管轄です。司法書士は地方裁判所における代理権がありませんし、強制執行手続きについては、司法書士は代理人にはなれません。
不動産明渡請求については、司法書士が大家様や管理会社様に代わって借主と交渉することもできません。

借り主がどこに行ったか不明で連絡も取れないのですが、それでもお願い出来ますか?

可能です。法的手続きを進めるうえで大きな問題はありません。

借り主が所在不明で連絡も取れないということは、もはや話し合いでは解決できません。法的手続きを執るしか無い場合がほとんどだと思われます。
そのような場合に適した法的手続きを進めることで、ほとんどの場合、強制的に退去させることが出来ます。
但し、連絡も取れない場合には、家賃の回収については困難な場合がほとんどです。

手続き中、借主が直接自分の所に来て話したいと言ってきた場合にはどうしたらよい?

毅然と拒否し、弁護士と話すよう伝えて下さい。

弁護士が受任した場合は、全て弁護士を通していただく必要があります。大家さんご本人が直接話すとどうしても甘いことを言ってしまったりして、それを逆手に取られ、状況がこじれることがあるからです。
我々が借主様からお話を伺った場合には、通常依頼人たる大家様にご報告申し上げ、それで対応を協議するという形になります。
ご依頼頂いている以上、「弁護士を通してほしい」と言って頂いて構いませんので、まず直接の話し合いは避け、弁護士と話すように伝えてください。

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