<解決パターン>別居後の配偶者に対する明渡請求

1.はじめに

離婚をご依頼を頂く中で良くあるパターンが、「契約者が物件から退去後、配偶者とその家族が居住を継続し、その後家賃滞納となるパターン」です。
例えば、契約者である奥様(ご主人)が、ご主人(奥様)と別居し、相手が物件に居住するも、家賃を滞納する、という場合です。
別居後、家賃の支払に関して合意が不調に終わった場合、別居により双方の経済状況が悪化する場合(退去しないことを条件交渉のカードとして利用されることもあるかもしれません。)などが具体的な例です。また、お子様が乳幼児の場合、お子様の学区の関係や進学関係などで、退去が困難となっている場合もあります。
ご家族の状況などにも配慮しながら手続を進めていく必要があります。

2.明渡請求の流れ

まず、契約者ご本人に対して賃貸借契約継続を望むかどうかを確認する必要があります。契約者ご本人が、ご家族のために賃貸借契約継続を望む場合には、大家様にご意向を確認します。家賃滞納解消を条件に、ご家族との間で新規の賃貸借契約を締結可能ということであれば、期間を区切って滞納家賃を支払ってもらい、新規の賃貸借契約の段取りをとります。
契約者ご本人が契約継続を望まない場合には、契約者ご本人から退去届を取り付けます。そのうえで、ご家族に物件の明渡を求めていきます。
ご家族に対する明渡請求訴訟を求める際には、原則として、契約者ご本人及び実際に物件にお住いのご家族双方を被告として訴訟を提起することになります。但し、ご夫婦間で離婚紛争になっている場合や、代理人が就任している場合などについては、プライバシーとの関係で訴訟の進め方を慎重に検討しなければなりません。
退去を求められることについて、ご家族に帰責事由が存在しない場合もあります。また、居住されているご家族が経済的に困窮されている場合もあります。必要に応じて、居住先確保を目的として行政機関(役所の福祉関係部署)を紹介する必要があります。また、行政機関と積極的に連携する必要もあります。
残念ながら強制執行に至った場合においては、例えば小さいお子様がいらっしゃるご家庭ではその時点で執行官と協議し、行政機関に連絡して対応を求めるべきでしょう。無理に強制執行手続きを進めても、いわゆる過酷執行ということで執行不能になる場合がなり、依頼者にも執行官にも相手方のご家族にも無用な負担をかける結果になりますので、迅速かつ慎重に進めるべきです。

3.滞納家賃の支払に関する留意事項

このようなパターンでは、居住されるご家族の方から、「家賃滞納を解消したい」との申し出がされるときもあります。しかし、契約者以外の第三者が物件を占有するに至った場合には、「転貸」と評価され、それ自体「不法占有」となることが多いと思いますし、契約者自身が、家族による滞納家賃の支払に同意しない場合もあります。この場合には、あくまでも明渡をして頂くことを前提として、「不法占有による損害金として受領する」、という対応をすべきです。または、先に明渡のための引っ越し費用に充ててもらい、早期明け渡しを実現してもらうべきです。

4.夫婦間で紛争となっている場合の明渡請求における留意点

夫婦間で紛争になっており、双方又は一方に弁護士が就任している場合には、まずは当該弁護士に連絡を入れる方がスムーズです。
また、DV等を原因として、契約者の転居先に関する情報が「取扱注意」になっている場合には、当該情報が他の配偶者に伝わらないように十分注意すべきです。

5.さいごに

今回ご紹介したパターンでの明渡請求は、建物明渡請求事件に精通し豊富な経験を積んだ弁護士でないと対応が難しい局面となります。早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。

記事カテゴリ: 解決パターン
投稿日時: (約3年6ヶ月前)
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