【建物明け渡し(立ち退き)解決事例】近隣に迷惑行為を行う入居者を退去させた事例

【物件の概要】単身者用アパート
【借   主】30代単身男性
【特   徴】近隣や他の入居者に対する迷惑行為
【解決内容】訴訟提起後、退去を内容とする訴訟上の和解

1.近隣迷惑行為を行う悪質入居者

 今回は、近隣迷惑行為を行う悪質入居者を退去させた事例を紹介します。
 借主は単身者男性です。新型コロナウイルス感染拡大の観点より、自宅で仕事をすることが多くなりました。
 借主は、入居後まもなく、同じアパートの入居者に対する暴言・激昂、威圧行為、待ち伏せなどの嫌がらせ行為(階下から棒のようなものでドンドンする等)、アパート設備の破損行為(激昂して共用部設備を破損)、過剰なクレーム行為(毎日のように抗議の手紙を入れる)といった行動を起こすようになりました。
 そのうちに、借主のこのような行動を嫌がり、周りの部屋の入居者が退去するようになりました。家主様は退去後の部屋に新たな入居者を入れるわけにもいかず、非常にお困りの様子でした。
 そこで、赤坂門法律事務所にご相談があり、弊所で借主に対する明渡訴訟を受任しました。

2.内容証明郵便の送付と相手方からの反応

 受任後、当方でまずは賃貸借契約の内容を確認しました。賃貸借契約において、近隣の迷惑行為が解除事由に該当する旨の規定が定められていました。
 そこで、借主に対し、入居者に対する暴言、威圧行為や嫌がらせ行為が賃貸借契約における解除事由に該当するものとして、賃貸借契約の解除を内容とする内容証明郵便を送付しました。
 まもなく借主から連絡がありましたが、自らの非を認める、居住継続を主張してきました。
 交渉の余地はないものと考え、直ちに裁判所に対して明渡訴訟を提起しました。

3.訴訟上で退去を内容とする和解成立

 訴訟提起後、借主にその旨を伝えたところ、早期に退去するとの連絡を受けました。退去までは迷惑を行わないように約束する、退去期限には遅れないようにする、との約束もしてもらいました。
 そこで、裁判所において、借主との間で、退去を内容とする訴訟上の和解を成立させるに至りました。
 その後紆余曲折はありましたが、無事物件の退去に至りました。

4.本件のポイント

(1) 近隣や他の入居者への迷惑行為は契約解除事由になります

 近隣住民や他の住居者への迷惑行為は、契約解除事由になります。
 まず、賃貸借契約において、近隣や他の入居者への迷惑行為が条項で定められている場合には、この条項に基づき契約解除が認められる場合があります。
 他方で、(特にかなり昔の契約書においては)迷惑行為が契約解除事由に定められていない場合もあると思います。その場合でも、契約解除が認められる場合があります。
 一般的に、契約解除が認められるには、家主と借主との間の信頼関係を破壊するに足りる特段の事情が必要とされます。この点、近隣や他の入居者への迷惑行為は、そもそも道義的に許されません。また、法的にも許されない場合があります(脅迫罪や強要罪が成立する場合もあります)。したがって、迷惑行為が存在すること自体、家主と借主との信頼関係を破壊するに足りる特段の事情の存在が存在すると判断される場合が多いと思われます。

(2) 弁護士による毅然とした対応が効果的

 迷惑行為を行う借主に対する対応は、毅然とした対応が効果的な場合があります。
 家主が、弁護士に依頼して毅然とした対応を示すことが解決の第一歩です。
 管理会社様に依頼して解決することも一つの方法ですが、弁護士法の観点より問題が生じる場合があります。弁護士法違反である旨、逆に借主から追及を受け、対応に窮する場合もあります。
 迷惑行為を行う悪質入居者への対応は、弁護士に依頼することで早期解決に至る場合があります。まずは弁護士へのご相談をお勧めします。
 ご相談だけでも、解決策が見える場合がありますので、是非お問い合わせください。

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 「問い合わせページへ

以下の事例についてもご確認ください。
類似事例①迷惑行為を行う借主に対して明渡を求めた事例
類似事例②ペットの無断飼育を訴訟において立証し、借主退去に至った事例

※守秘義務の関係より、事案の性質や概要を変更しない範囲で実際の事案と異なる部分があります。

記事カテゴリ: 解決事例
投稿日時: (約1年2ヶ月前)

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よくあるご質問

見積もりを取ることは可能でしょうか?

ご相談いただければ可能です。

ご相談内容を踏まえてお見積りさせていただきます。
見積もりは無料となっております。事案によって請求額は異なりますので、まずはご相談ください。

退去してもらうまで、どの程度の時間がかかるものでしょうか?

当事務所での解決までの平均期間は、4か月程度です。但し、弁護士が受任したことで、1カ月程度の早期解決に至ることもあります。

家賃滞納による明渡請求は、家賃滞納自体に争いが無い場合には、強制執行手続による退去完了まで、以下の経過をたどります。

  1. 内容証明郵便による契約解除通知送付(受任から3日~1週間程度)
  2. 訴訟提起(内容証明郵便送付日の翌日~2週間程度)
  3. 第1回期日(訴訟提起日から1ケ月~1ケ月半程度)
  4. 判決期日(第1回期日から1週間~2週間程度)
  5. 強制執行申立(判決期日から2週間~1ケ月程度)
  6. 断行手続(強制執行申立から1ケ月~1ケ月半程度)
  7. 退去完了

強制執行手続のうち、断行手続(裁判所の手続により、荷物を搬出・鍵の交換等を行う等の方法で強制的に明け渡しを実現する手続)によって退去が完了する場合、受任から終了まで概ね4ケ月~5ケ月程度の期間が必要となります。

但し、賃借人が行方不明の場合などを除き、強制執行の断行手続に至るケースは多くありません。訴訟提起後、強制執行手続に至るまでに退去するケースの方が圧倒的に多いというのが実情です。
弁護士が家主様の代理人に就任したことにより、1カ月程度で退去に至るケースもあります。
これらの早期解決案件を含めた弊事務所での平均解決期間は、受任から概ね4ケ月程度です。

【2022年10月11日更新】

司法書士に頼むのとどう違うのですか?

建物明渡請求訴訟について、司法書士は原則として代理人になれません。

弁護士と司法書士の違いは、端的にはその権限に違いがあります。

弁護士は、すべての訴訟事件について代理人として活動することができます。
他方で、司法書士は、訴訟事件について原則として代理人となる権限がありません。
認定を受ければ訴額140万円以下の事件について代理人として活動することはできます。しかし、その場合でも、簡易裁判所の事件での代理権しかなく、地方裁判所での代理権限はありません。
不動産明渡請求訴訟は地方裁判所が管轄です。司法書士は地方裁判所における代理権がありませんし、強制執行手続きについては、司法書士は代理人にはなれません。
不動産明渡請求については、司法書士が大家様や管理会社様に代わって借主と交渉することもできません。

借り主がどこに行ったか不明で連絡も取れないのですが、それでもお願い出来ますか?

可能です。法的手続きを進めるうえで大きな問題はありません。

借り主が所在不明で連絡も取れないということは、もはや話し合いでは解決できません。法的手続きを執るしか無い場合がほとんどだと思われます。
そのような場合に適した法的手続きを進めることで、ほとんどの場合、強制的に退去させることが出来ます。
但し、連絡も取れない場合には、家賃の回収については困難な場合がほとんどです。

手続き中、借主が直接自分の所に来て話したいと言ってきた場合にはどうしたらよい?

毅然と拒否し、弁護士と話すよう伝えて下さい。

弁護士が受任した場合は、全て弁護士を通していただく必要があります。大家さんご本人が直接話すとどうしても甘いことを言ってしまったりして、それを逆手に取られ、状況がこじれることがあるからです。
我々が借主様からお話を伺った場合には、通常依頼人たる大家様にご報告申し上げ、それで対応を協議するという形になります。
ご依頼頂いている以上、「弁護士を通してほしい」と言って頂いて構いませんので、まず直接の話し合いは避け、弁護士と話すように伝えてください。

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