老朽化・建て替え・自己使用のための立ち退き請求

老朽化・建て替え・自己使用のための立ち退き請求

老朽化する家のイメージ

はじめに

建物老朽化・建て替えによる取り壊し、また、家主様の自己使用の必要性から借主に立ち退いて欲しい場合はどのように解決すればよいでしょうか。

誤解を恐れずにざっくりと申し上げれば、

(1)まずは借主に対して、退去のお願いをします。

(2)契約違反がある場合には、契約を解除して立ち退きを求めることも検討すべきです。

(3)契約違反が無い場合は、いわゆる正当事由を主張して立ち退きを求めていく場合もあります。

立退料の折り合いがつかない場合には立退料の交渉を進めていくことになります。

以下では、家主からの立ち退き請求を具体的にどのように進め解決していくか、わかりやすく解説します。

どう解決するか

借主に対する退去のお願い

まずは、借主に対して退去のお願いをします。退去のお願いの際には、立退料の提示を行うことが一般的です。借主が退去に応じれば、揉めることなく、円満に立ち退きを実現することができます。

退去のお願いをしても立ち退きに応じてくれない場合には、契約違反の有無によって対応が変わります。

借主に契約違反がある場合

家賃滞納などの契約違反がある場合には、契約を解除したうえで訴訟提起することを念頭に手続きを進めます。

借主の契約違反の内容・程度にもよりますが、立退料を支払わずとも立ち退きしてくれる場合があります。

(家賃滞納により建物明渡請求については、以下のページをご覧ください。)

 

また、近隣への迷惑行為などの契約違反を理由として立ち退きを求めていく場合もあります。
(この場合の手続の流れの詳細は、悪質入居者に対する明け渡しについての詳細ページをご覧下さい。)

 
借主に契約違反行為等が無い場合(解約申入れ・正当事由)

借主に契約違反行為や落ち度等が無い場合には、借主に対し、老朽化や建て替え、自己使用を理由として、改めて立ち退きを求めていくことになります。

退去に難色を示された場合や、応答が無い場合など、交渉に時間がかかりそうな借主については、普通賃貸借契約の更新拒絶通知(借地借家法26条1項)、又は、解約申入れ(借地借家法27条1項)により、賃貸借契約の解約を求めていくことになります。

ただし、無条件に解約申入れが認められるわけではありません。解約申入れが認められるためには、正当事由(借地借家法28条)が必要です。

正当事由の判断においては、家主様が建物の使用を必要とする事情と借主が建物の使用を必要とする事情が基本的な判断要素とされます。
「建物の賃貸借に関する従前の経過」「建物の利用状況や建物の現況」「立退料」は付随的な判断要素とされています。
したがって、「立退料」の存在のみで正当事由が判断されるわけではありません。

(正当事由の判断の詳細については、以下の「よくあるご質問」をご覧下さい。)

 

具体的な案件の流れ

ご相談から、立ち退きに至るまでの流れは以下のとおりです。

STEP1
ご相談と方針決定
無料
ご相談の際に、立ち退きを必要な事情を可能な範囲でお伺いし、どのように手続を進めるか家主様と相談して方針を決定します。
※立退料を支払ったとしても到底立ち退きが認められない事例もあります。そのような見通しも、ご相談時にお伝えするようにしています。

STEP2
委任契約の締結
着手金が発生します
家主様からご依頼頂く場合には、委任契約書を締結し、委任状を頂戴します。着手金のお支払を頂いた後に、事件処理に着手します。

STEP3
借主に対する通知
1週間後~2週間後
お手紙を送付し、借主様に対し立ち退きを求める文書を送付します。契約解除通知や解約申入れ、更新拒絶を行う場合には、内容証明郵便にて文書を送付する場合があります。

STEP4
借主と協議
2週間後~1か月後
借主様と連絡がつく場合には、退去時期や立退料の金額などについて協議し決定します。

STEP5
訴訟提起
1か月後~1か月半後
借主様と連絡が付かない、もしくは交渉での解決が困難と判断される場合には、明渡請求訴訟を提起します。

STEP6
裁判~裁判中での調整~判決
訴訟提起から1か月半~
訴訟提起後、主張立証を行うとともに、訴訟進行中にも借主様との間で話し合いを行います。話し合いがまとまらなければ裁判所に退去を命じる判決を求めます。

STEP7
強制執行の申立および執行手続
判決から1ヶ月〜1ヶ月半 執行申立にかかる着手金が発生します 執行費用を事前にお預かりし、終了後清算いたします
退去を命じる判決後、再度借主と話し合いを行い、自主的に退去する場合にはその退去日を設定します。退去が期待できない場合には、強制執行の申立てをします。執行費用を事前にお預かりし、終了後清算します。

STEP8
退去完了
報酬金および実費精算が発生します
退去をご確認いただき、報酬金などの精算を終えて完了となります。
 

解決事例

立退き請求については、2022年の解決事例として、以下の事例があります。

不動産に強い赤坂門法律事務所にご依頼ください

建物明渡請求に際しては、不動産に強く不動産案件の経験豊富な弁護士を選任する必要があります。

赤坂門法律事務所では、2011年から現在に至るまで、合計で4734(2022年12月末日現在)の建物明渡請求訴訟を受任し、解決に導いてきました。

また、弊事務所は、全国展開する大手不動産管理会社、不動産仲介会社や建物管理会社の顧問業務を担当させて頂いています。

同種事案を多数受任してきた経験に基づき、迅速な事件処理を図ります。

まずは、大家様・管理会社様のお悩みをご相談下さい。最善の解決を考えていきましょう。

東京事務所: 平日10時00分〜17時00分 受付
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アクセス

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所有者不明土地(名義人不明問題)

不動産に関する各種契約書を、迅速かつ適切な形で作成します。証券化に関する契約書や不動産信託に関する契約書、財務局への届出書類などについても対応します。

 

共有不動産問題

共有不動産問題は、先送りにすると問題解決を困難にしますので、早期の弁護士相談が有効です。一緒に解決策を考えていきましょう。

 

破産・再生・債務整理

不動産の処理が問題になる法人・個人破産手続、民事再生手続や債務整理手続についても、多数の案件を取り扱ってきました。経験を生かして適切な処理を行います。

M&A関連業務

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多数の不動産問題を取り扱った経験やアドバイスを行った経験を踏まえ、企業活動に適切な指針を与えます。また、不動産Techに関する法的課題について適切にアドバイスします。

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不動産に関する各種契約書を、迅速かつ適切な形で作成します。証券化に関する契約書や不動産信託に関する契約書、財務局への届出書類などについても対応します。

よくあるご質問

見積もりを取ることは可能でしょうか?

ご相談いただければ可能です。

ご相談内容を踏まえてお見積りさせていただきます。
見積もりは無料となっております。事案によって請求額は異なりますので、まずはご相談ください。

退去してもらうまで、どの程度の時間がかかるものでしょうか?

当事務所での解決までの平均期間は、4か月程度です。但し、弁護士が受任したことで、1カ月程度の早期解決に至ることもあります。

家賃滞納による明渡請求は、家賃滞納自体に争いが無い場合には、強制執行手続による退去完了まで、以下の経過をたどります。

  1. 内容証明郵便による契約解除通知送付(受任から3日~1週間程度)
  2. 訴訟提起(内容証明郵便送付日の翌日~2週間程度)
  3. 第1回期日(訴訟提起日から1ケ月~1ケ月半程度)
  4. 判決期日(第1回期日から1週間~2週間程度)
  5. 強制執行申立(判決期日から2週間~1ケ月程度)
  6. 断行手続(強制執行申立から1ケ月~1ケ月半程度)
  7. 退去完了

強制執行手続のうち、断行手続(裁判所の手続により、荷物を搬出・鍵の交換等を行う等の方法で強制的に明け渡しを実現する手続)によって退去が完了する場合、受任から終了まで概ね4ケ月~5ケ月程度の期間が必要となります。

但し、賃借人が行方不明の場合などを除き、強制執行の断行手続に至るケースは多くありません。訴訟提起後、強制執行手続に至るまでに退去するケースの方が圧倒的に多いというのが実情です。
弁護士が家主様の代理人に就任したことにより、1カ月程度で退去に至るケースもあります。
これらの早期解決案件を含めた弊事務所での平均解決期間は、受任から概ね4ケ月程度です。

【2022年10月11日更新】

司法書士に頼むのとどう違うのですか?

建物明渡請求訴訟について、司法書士は原則として代理人になれません。

弁護士と司法書士の違いは、端的にはその権限に違いがあります。

弁護士は、すべての訴訟事件について代理人として活動することができます。
他方で、司法書士は、訴訟事件について原則として代理人となる権限がありません。
認定を受ければ訴額140万円以下の事件について代理人として活動することはできます。しかし、その場合でも、簡易裁判所の事件での代理権しかなく、地方裁判所での代理権限はありません。
不動産明渡請求訴訟は地方裁判所が管轄です。司法書士は地方裁判所における代理権がありませんし、強制執行手続きについては、司法書士は代理人にはなれません。
不動産明渡請求については、司法書士が大家様や管理会社様に代わって借主と交渉することもできません。

借り主がどこに行ったか不明で連絡も取れないのですが、それでもお願い出来ますか?

可能です。法的手続きを進めるうえで大きな問題はありません。

借り主が所在不明で連絡も取れないということは、もはや話し合いでは解決できません。法的手続きを執るしか無い場合がほとんどだと思われます。
そのような場合に適した法的手続きを進めることで、ほとんどの場合、強制的に退去させることが出来ます。
但し、連絡も取れない場合には、家賃の回収については困難な場合がほとんどです。

手続き中、借主が直接自分の所に来て話したいと言ってきた場合にはどうしたらよい?

毅然と拒否し、弁護士と話すよう伝えて下さい。

弁護士が受任した場合は、全て弁護士を通していただく必要があります。大家さんご本人が直接話すとどうしても甘いことを言ってしまったりして、それを逆手に取られ、状況がこじれることがあるからです。
我々が借主様からお話を伺った場合には、通常依頼人たる大家様にご報告申し上げ、それで対応を協議するという形になります。
ご依頼頂いている以上、「弁護士を通してほしい」と言って頂いて構いませんので、まず直接の話し合いは避け、弁護士と話すように伝えてください。

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