家賃回収に役立つ!コラム 【2「まとめて支払う」という借主】

【2「まとめて支払う」という借主】

1 「あとでまとめて支払いますので居住させてください」という言葉の意味

 家賃滞納が生じている借主さんに対して家賃督促をしたときに、「あとでまとめて払いますから」と、借主さんから言われたことがある方も多いと思われます。
 このような借主さんに対して、具体的にどのように対応すればよいでしょうか。
 借主さんが言っている、「あとでまとめて家賃を支払う」という言葉が、どのような意味を持つのかがポイントです。
 まず一つ目は、「後でまとまってお金が入る予定があるから、その時に支払う」というもの。
 二つ目は、「一部であれば支払えないことはないけど、全部支払うには足りないからお金がたまったときにまとめて支払い」というものです。

2 「後でまとまったお金が入る予定がある」と言われた場合

 「後でまとまったお金が入る予定がある」と言われたときは、家賃回収の見込みを確認するため、お金が入ってくる期日、その内容(給料や仕事の報酬なのか)について確認することがまずは重要です。
 可能であれば、その裏付け資料の提示を求めると理想的です。
 原資がボーナスや歩合給など、具体的な裏付けがあるような場合には、家賃支払を待ちそれまで家賃督促をしない、という選択肢もありうると思います。
 逆に、「仕事が入ってくる予定」「知り合いに貸したお金が返ってくる予定」などと、内容があいまいな場合には、支払を待ったところで支払されない場合も多いです。したがって、家賃を少しでも回収しておいたほうが良いと考えます。また、こまめに家賃督促をした方が良いことが多いように思います。
 いずれにせよ、まとまったお金が入らないと家賃が支払えない、ということは、収入自体が不安定で毎月支払えない、ということですから、今後も家賃滞納が生じる可能性が高い場合が多いと思います。
 そういった場合には、敷金の増額を要請して予め預かっておくことを検討すべきです。また、まとまったお金があるときに、先に前払いを受けておくことも検討したほうがよいでしょう。なお、敷金の増額や前払いを法的に請求することは原則としてできませんが、敷金増額や前払いを任意にお願いすること自体は問題ありません。

3 「一部であれば支払えないことはないけど、全部支払うには足りないからお金がたまったときにまとめて支払う」と言われた場合

 当然ですが、このような場合には、一部でも支払ってもらったほうが良いでしょう。
  家賃滞納の回収は、早めに(ほかの支払に充てられる前に)、少額でも細かく払ってもらうことが鉄則です。
 一部であれば支払うことができる、ということは、家賃を全額支払うことができない経済状態である、ということです。オーナー側としては、安い家賃のマンションに引っ越すことを勧めたり、場合によっては生活保護(住宅扶助等)の申請や緊急小口資金や生活福祉資金の貸付を勧めることも必要だと思います。

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投稿日時: (約5年6ヶ月前)

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よくあるご質問

見積もりを取ることは可能でしょうか?

ご相談いただければ可能です。

ご相談内容を踏まえてお見積りさせていただきます。
見積もりは無料となっております。事案によって請求額は異なりますので、まずはご相談ください。

退去してもらうまで、どの程度の時間がかかるものでしょうか?

当事務所での解決までの平均期間は、4か月程度です。但し、弁護士が受任したことで、1カ月程度の早期解決に至ることもあります。

家賃滞納による明渡請求は、家賃滞納自体に争いが無い場合には、強制執行手続による退去完了まで、以下の経過をたどります。

  1. 内容証明郵便による契約解除通知送付(受任から3日~1週間程度)
  2. 訴訟提起(内容証明郵便送付日の翌日~2週間程度)
  3. 第1回期日(訴訟提起日から1ケ月~1ケ月半程度)
  4. 判決期日(第1回期日から1週間~2週間程度)
  5. 強制執行申立(判決期日から2週間~1ケ月程度)
  6. 断行手続(強制執行申立から1ケ月~1ケ月半程度)
  7. 退去完了

強制執行手続のうち、断行手続(裁判所の手続により、荷物を搬出・鍵の交換等を行う等の方法で強制的に明け渡しを実現する手続)によって退去が完了する場合、受任から終了まで概ね4ケ月~5ケ月程度の期間が必要となります。

但し、賃借人が行方不明の場合などを除き、強制執行の断行手続に至るケースは多くありません。訴訟提起後、強制執行手続に至るまでに退去するケースの方が圧倒的に多いというのが実情です。
弁護士が家主様の代理人に就任したことにより、1カ月程度で退去に至るケースもあります。
これらの早期解決案件を含めた弊事務所での平均解決期間は、受任から概ね4ケ月程度です。

【2022年10月11日更新】

司法書士に頼むのとどう違うのですか?

建物明渡請求訴訟について、司法書士は原則として代理人になれません。

弁護士と司法書士の違いは、端的にはその権限に違いがあります。

弁護士は、すべての訴訟事件について代理人として活動することができます。
他方で、司法書士は、訴訟事件について原則として代理人となる権限がありません。
認定を受ければ訴額140万円以下の事件について代理人として活動することはできます。しかし、その場合でも、簡易裁判所の事件での代理権しかなく、地方裁判所での代理権限はありません。
不動産明渡請求訴訟は地方裁判所が管轄です。司法書士は地方裁判所における代理権がありませんし、強制執行手続きについては、司法書士は代理人にはなれません。
不動産明渡請求については、司法書士が大家様や管理会社様に代わって借主と交渉することもできません。

借り主がどこに行ったか不明で連絡も取れないのですが、それでもお願い出来ますか?

可能です。法的手続きを進めるうえで大きな問題はありません。

借り主が所在不明で連絡も取れないということは、もはや話し合いでは解決できません。法的手続きを執るしか無い場合がほとんどだと思われます。
そのような場合に適した法的手続きを進めることで、ほとんどの場合、強制的に退去させることが出来ます。
但し、連絡も取れない場合には、家賃の回収については困難な場合がほとんどです。

手続き中、借主が直接自分の所に来て話したいと言ってきた場合にはどうしたらよい?

毅然と拒否し、弁護士と話すよう伝えて下さい。

弁護士が受任した場合は、全て弁護士を通していただく必要があります。大家さんご本人が直接話すとどうしても甘いことを言ってしまったりして、それを逆手に取られ、状況がこじれることがあるからです。
我々が借主様からお話を伺った場合には、通常依頼人たる大家様にご報告申し上げ、それで対応を協議するという形になります。
ご依頼頂いている以上、「弁護士を通してほしい」と言って頂いて構いませんので、まず直接の話し合いは避け、弁護士と話すように伝えてください。

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