【明渡請求訴訟の実務】 2 明渡請求訴訟の特徴 (2)当事者の特定
建物明渡請求を行う際に気を付けなければいけないのは、「当事者が誰か」という点が問題になることが多々あるという点です。
まず、建物明渡請求において、賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求権を法的根拠とするのであれば、原告は賃貸人になります。逆に、所有権に基づく返還請求権を法的根拠とする場合には、原告は所有者となります。
この点、所有者と賃貸人は同一ではないことに注意が必要です。所有者から物件がサブリースされている場合など、所有者と賃貸人が異なることがあります。また、よくあるパターンとして、個人が保有している物件を、個人が代表者を務めている会社が賃貸しているパターン、親族が賃貸しているパターンがあります。他人物賃貸借も民法上有効ですので、このような場合には会社や親族が賃貸人になるのですが、賃貸借契約書などを注意深く見ないとその点を誤る可能性があるので注意が必要です。
また、被告を誰にするかという点も困難な問題を生じることがあります。例えば、夫が賃借人の場合に、夫が物件に居住しておらず妻だけが居住している場合、複数人の出入りが確認できる場合、報告を受けていない同居者がいる場合、社宅の場合など、誰を被告として判決の効力を及ぼすか、判断が付きかねる場合もあります。
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