【明渡請求訴訟の実務】2 明渡請求訴訟の特徴 (3)物件の特定

 明渡訴訟では、明渡の対象となる物件をどのように特定するかという問題が生じます。裁判所が明渡しを命じるうえで、明渡す範囲が特定できなければならないためです。明渡しの範囲が不明確なまま判決を下すと、実際に強制執行を行う際に対象を明確にすることができず、明渡しを実現することができない場合があります。この点、物件の種類ごとに考え方は分かれます。例えば、マンションの部屋は、原則として部屋ごとに区分されており、部屋番号で特定することができますので、特定という点で問題になることは少ないのが実情です。しかし、駐車場や、一軒家、店舗の場合などは、「どこからどこまでが賃貸借の対象なのか」を特定することが難しい場合があり、注意が必要です。
 物件の特定は、物件目録の記載だけで、対象範囲が明確にされるように、一義的に特定されなければならないという点を意識して作成することが必要です。しかし、このような特定を行うこと自体が難しい場合も多いのが実情です。
 例えば、店舗や事務所の場合には、区画自体がパーテーションで区切られていたり、部屋番号が無かったりする場合がありますので、図面での特定を必須とするのが裁判所実務と考えてよいと思います。建物平面図を一部加工したものや、賃貸借契約添付の図面を物件目録に添付する形で特定することが多いと思います。
 難しいのが駐車場です。駐車場は、駐車区画が白線などで明確になっている場合もありますが、「概ねこのあたり」などと実にあいまいな形で駐車を認めている場合も多数あります。そのような場合には、物件目録記載における工夫が必要となります。場合によっては、裁判官や書記官と協議することもあります。

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投稿日時: (約3年6ヶ月前)
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